大編集後記。夏特集を振り返る(3)

夏特集の体当たりチャレンジで、小型船舶免許に見事合格となった俺だが、
その裏には血のにじむような努力の日々があったのだ。
バイク雑誌を担当する編集部員の谷田貝(やたがいと読むがヤッチーと呼ぶ)が
「企画で小型船舶の免許を取るんですよ」
と聞かされた瞬間だった。
それ、夏企画にもってこいじゃないの。
聞けば10万円かからず、2日間で取れて合格率は9割を越えるという。
つまり、至極カンタンなものと判断される。
「俺もやる、昭和40年男の特集で」

すさまじい節約取材となった。
写真は俺がヤツを撮り、ヤツが俺を撮れば時間的にも経費的にも助かる。
つまり、取材経費は安くつく。
トントン拍子に企画実施が決まったものの、
2日間で取れるクイックチャレンジコースは日程が限られていて
〆切に対してかなりタイトではあった。
が、とにかくギリギリで滑り込み合格を決めて
実際に海に出るロケまでなんとか組めるというタイミングではあったのだ。
覚悟を決めて申し込み、数日後に教材が届いた。
クイックコースは予習をしておけと書いてあったが、んなもんは当然無視だ。
そんな時間があったら、原稿を書きたい。
とにかくタイトなのだよ。

「教材開きました?」と、ヤッチー。
「んな時間はない。第一、合格率9割越えだろう。アホじゃあるまいし」
「ロープワークとか、結構面倒ですよ」
「んなもんは今から覚えたって忘れるワイ。前日に詰め込めば十分」
と、耳を貸さずに教習日を迎えたのだった。

受講者は4名で、二組に分かれて講習と実技を受けた。
幸い俺とヤッチーは同じ組で、撮影しながら受講する。
まずは午前中の講習からだ。
初めて開く教材。
初めて聞く海の世界のルール。
???
ちんぷんかんぷんじゃないの。
3時間の講習を終えて
「ここに900題の問題集がありますから、これを全部やれば大丈夫です」
900題?
1題3分×900題=2,700分=45時間=まるまる2日間?

へっ? んな時間あるわけない。
そうか、1題30秒でやればいいんだ…って無理だろうなあ。
ヤバイヤバイヤバイ。
不安いっぱいで土手を眺めながらおにぎりを頬張っている写真が、本誌に掲載されている。
かなりなめていたなあ。

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2件のコメント

  1. こんばんわ、風親父です。
    谷田貝さんて「タンデムスタイル」に出てくる、失礼、編集の方ですか?。
    色々知っている方の名前が出てきて楽しいです、所でボートって曲がるときの感覚とかバイクに似てますよね。
    飛行機のパイロットもバイクに乗る人が多いと言うのはやはり感覚が似ているからなんでしょうか。
    スキーのレーサーがモトクロスをやるなんて言うのはモロにですよね。
    「昭和40年男」の最新号をみて、今年の夏はボートに乗りに行ってみようかなどと考えています。

    • そのとおり。よくご存知ですね。クレタ通!
      ボートに乗ったらぜひ感想などお送りください。

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