音楽売り上げが世界一になった日本。

低迷が続くと聞いていたから、今朝知ったタイトルの報道には少し驚いた。約50カ国が加盟するという、国際レコード産業連盟から発表されたそうで、CDとDVD、配信も含んでの売り上げだとのことだ。ライブなどの興行やグッズは入っていないのだから、音楽市場全体として見ればずいぶん大きいものになる。とは言え、音楽業界に吹いている逆風が深刻であることは、去年の売り上げランキングをのぞいてみれば一目瞭然だ。

オリコンによると、シングルでミリオンを記録したのは5枚ある。これ自体は素晴らしいと思いきや、すべてがAKB48という凄まじい結果だ。その5曲と大きな開きがある6位には、約65万枚のセールスを記録した嵐で7位と2曲続き、その後はSKE48という状況だ。さらにランキングを見ていくと実に22位までがなんちゃら48とジャニーズの面々で独占されている。23位になってやっとミスチルが入って27万枚となっているのだからお寒い。一方、アルバムランキングでは、ミスチルのベスト盤が1、2位となっていて、10位までにベスト盤が6枚が占めるという状況である。オリジナルアルバムでランクインさせたのは、シングル同様強さを見せるAKB48と嵐がいて、そしてEXILEとミスチルががんばっている。

待つわ あみん僕らの時代に目を移してみた。例えば、17歳になる昭和57年は、シングルでミリオンはあみんの『待つわ』が1曲のみだが、それ以下のラインナップが実にバラエティに富んでいる。2位以降、薬師丸ひろ子さん、岩崎宏美さん、中村雅俊さん、そして5位には演歌で細川たかしさんが健闘している。さらに中島みゆきさん、マッチ、サザンと続き、9、10位がマッチとなり、ここまできてやっと重複することになる。20位までには、聖子ちゃんに「ウエディング・ベル」のシュガー、郷ひろみさん、Johnny、大橋純子さん、復活を遂げたザ・タイガース、そして「い・け・な・い ルージュマジック」の、清志郎さん&教授らが並ぶ。2012年と比べてなんとおもしろいのだろう。そしてミリオンこそ1曲だが、20位の「い・け・な・い ルージュマジック」が41万枚の年間セールスを記録していて、対して2012年の20位は30万枚となっている。つまり、多くのミュージシャンがたくさん売っていたことになる。アルバムランキングも活気があり、アイドルからフォークにロックものまで幅広くあり実に楽しい。20位までにベスト盤はなく、シングルとともにランキングを見るだけで音楽業界がいかに活気に満ち、セールス合戦に工夫と努力を重ねていたかが容易に想像できる。

そしてもう1つおもしろいのが、音楽にもっとも夢中だった時代ということで17歳という年を比較対象にしたのだが、この年のアルバムセールスの2位、3位、9位にランクインしているのが、上から山下達郎さん、サザン、松任谷由実さんとなっていて、去年はベスト盤で10位内にランクインしている (サザンは桑田さんのソロとなるが) 。30年経てこの現象は凄いことだが、同時に寂しいことでもある。世界一の市場規模といってもまったく胸が張れない、むしろ情けなく感じてしまうのは、音楽好きの昭和40年男だったら同じ気持ちだろう。

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