デヴィッド・ボウイの『The Next Day』はスゴイぞ。

デヴィット・ボウイ・『The Next Day』会社のそばのCDショップは売り切れで焦ったが、2軒目でゲットできた。デヴィッド・ボウイの最新作『The Next Day』は素晴らしいアルバムに仕上がっている。『昭和40年男』最新号に掲載した紹介ページそのままに「待ち望んだ復活よりも、最高傑作の完成を祝いたい。」気分である。

僕ら昭和40年男にとってボウイとは? 高校3年生の時、『レッツ・ダンス』のミュージックビデオが出会いだったのではないか。ブッカブカのスーツを身にまとって、軽やかなステップで歌う金髪の色男は、それ以前のおどろおどろしくて危険な香りはなかった。音楽ジャンキーだった僕だから、その存在はいつも気になっていたが、食わず嫌いだったのだ。なんだか“気持ち悪い”存在に思えて、グラムロックなるジャンルそのものを敬遠していた。ストレートなロックやブルースに傾倒していた時期だったから、よけいに変な色眼鏡をかけて遠くに置いたままにしていた。そんな頃、例に漏れずミュージックビデオによる『レッツ・ダンス』での出会いは完全な肩すかしで「ただのポップスじゃん。グラムロックってもっと刺激的じゃねーの」との、低い評価をくだしたのだった。

その後、ちょっと見直したのが映画『戦場のメリークリスマス』で、その内容と映画自体のクオリティも手伝ってちょっとときめいてしまった僕だ。なんちゅうカッチョよさなんだと風に気になり始め、やがて『レッツ・ダンス』をアルバムを聴く機会が訪れた。針を落とすと、ギターがゴリゴリとリズムを出し、続けてドラムが入ってくるスリリングな4拍子+2拍子の繰り返しの後に演奏が被さる。こんなカッチョエエイントロはそうそうないぞと乗り出した。アルバム全体はかなりポップス路線ではあったが、それに伏線を張るかのようにギターがやかましい。ブルースフィーリングあふれるスッゲーギターなのにその名前を聞いたことは無かった。このポップスアルバムに、ボウイらしい主張を加えるために起用したのではないかと思ったほど、度肝を抜かれたスティービー・レイ・ボーンのギターだった。こうして好印象を持てば遡って聴き込む。音楽好きの僕らのパターンである。大好きなミュージシャンの1人に加わるのに時間はほとんどかからなかった。

彼を象徴する言葉が「変化」と「進化」で、デビューからずっと続けてきた。僕らがリアルタイムで目撃した『レッツ・ダンス』での変化は、もしかしたらもっとも大きな変化だったかもしれず、高3で体験できたのはラッキーだった。その後も続く変化を受け入れながら、ずっとボウイとつき合ってきたのだ。そして今回のアルバムが、彼の音楽人生の集大成に感じてならない。それを確認するために『ジギー・スター・ダスト』を引っ張り出して、あらためて聴き込み、今へと繋がっている時間の流れに感動した。これからも『ジギー・スター・ダスト』は大好きなアルバムであり、今聴いても素晴らしい。だが、昔のボウイはよかったなとの感覚をまったく持たなくて済むのがうれしくてならないのだ。

『The Next Day』は、収録されたすべての曲の奥の奥まで、神経が張り巡らされているようなクオリティで、隙がなくて本当に気持ちいい1枚だ。66歳でこれを世に出す精神力とか集中力は凄まじいレベルのものであるはずで、昭和40年男としては見習いたい姿勢である。ましてや彼は病み上がりで、10年ぶりの制作にも関わらずだ。期待するのはツアーだが、これはのぞみ過ぎだろうか。

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2件のコメント

  1. 初めまして。まさに同じような経緯をたどった昭和40年女です。戦メリに衝撃を受け、レッツ・ダンスで踊らされました。その後70年代にさかのぼって聴いてました。The Next Dayは再び私をボウイの世界に導いてくれました。66歳のロックアルバム素晴らしいです。彼にとって年齢なんて関係ないのでしょうか。だとしたらやはりライブを期待してしまいます。しばらくボウイ熱に侵されそうです。

    • ですよね。スゴイロックアルバムになっていて、気持ちいいですよね。東日本大震災を見舞いたい想いは強いようなので、ツアーを組むことになればきっと来てくれることでしょう。

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