12月に聴きたいアルバム “ザ・ベストテン” 。ニール・ヤング『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ (After the Gold Rush) 』。

ニール・ヤング アフター・ザ・ゴールドラッシュ音楽好きの昭和40年男が、師走に聴くのにふさわしいと思われるアルバムを僕の独断でセレクトして、不定期連載で紹介している8枚目だ。音楽を聴くときに、なぜか12月はマッチングを考えてしまう。中学時代からの習慣になっていて、ここにあげる予定の10枚以外にもまだまだたくさんあるが、そのなかでも多くの昭和40年男に受け入れやすそうなものをチョイスしてご紹介してきた。そして今日はニール・ヤングから1枚いかせてもらおう。

ニール・ヤングはやや馴染みが薄いかもしれないが、昨日のオーティス・レディングの解説にも出した、アメリカの音楽誌『ローリングストーン』誌が発表した史上もっとも偉大な100人のシンガーでは37位にランキングされているほどである。1945年生まれで66年にデビューして以来、紆余曲折がありながらもバンドとソロ活動とを行ったり来たりしながら、現在も活動を続けているスーパー爺さんだ。僕は幸運なことに2003年の来日公演に出かけて、これまで観てきたライブの5本指に入るすばらしい体験した。

彼の独特の声は最初は抵抗があるかもしれないが、こうした癖のある声は慣れると離れられなくなる。昔友人が「キヨシローの声はくさやの干物だ」と褒め讃えたセリフがあるのだが、ニール・ヤングもまさしくそれだろう。慣れてしまえばこんないい声はないが、初めて聴いたときは受け入れが難しい。

彼のもっとも好きなアルバムを、バンドでの作品も合わせて選べといわれるとちょっと困る。だからこのブログでの不定期連載『懐かしの名盤ジャンジャカジャーン』に登場させられないでいるのだ。そろそろこの1枚だと自身を持っていえるアルバムを決定させたいところだが、名作ばかりで非常に難しい。ところが12月にしっくり来るアルバムとなれば、ラクチンでこの『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ(After the Gold Rush)』といえるのだ。フォークとカントリーの要素が色濃く出ていて酒によく合う。ニール・ヤングのアルバムは歌詞カードを追いかけながら真剣に聴きたいアルバムばかりだが、コイツと75年発表の『ズマ(Zuma)』は、比較的リラックスして聴けるニール・ヤングの作品では珍しい部類だろう。

とくにピアノで歌った彼の声が物悲しく響いて冬らしい。しっとりと落ち着かせてくれるのだ。リラックスして聴けるとしたが、ひとたび歌詞を真剣に追いかけ始めると酒の肴にするのは申し訳なくなる。そこは師走の忙しさに免じて許してもらって、彼の物悲しい歌唱に抱かれてのんびりとゆりかご気分で聞きたい。

先日、さんざん続いた忘年会の後、ロックバーが近くにあるのを思い出してみんなと別れてから1人でカウンターに座った。「マスター、今日はアフター・ザ・ゴールドラッシュがどうしても聴きたくて」というと、ニール・ヤング好きのマスターはうれしそうに頭からかけてくれた。「師走になると聴きたくなるんです」と告げると、なんとなくわかるよといった顔で微笑みながら、僕と同じようにゆりかごで揺られているかのようだった。ガランとした店に2人っきり、なんの会話もなくラストまで聴き入っていた大きな子供たちだった。自分へのクリスマスプレゼントにいかがでしょうか? このおバカな2人同様に、極上の時間を手にできるはずだぞ。

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3件のコメント

  1. スーパーではないんですが…
    また次回もがんばりますのでよろしくお願いします。

  2. このアルバム持ってます。
    フジテレビの「やっぱり猫が好き」の後に放送された「子供ほしいね」の
    オープニング曲が3曲目の「Only Love Can Break Your Heart 」でした
    先日子供ほしいねのDVDが発売されましたがオープニングは変わってました…残念

    • コメントありがとうございます。そうか、『やっぱり猫が好き』でしたね。なぜか『さんまのまんま』だと記憶違いをしていて、調べても出てこなかったんですよ。だからテレビで使われたことにふれられなかった。バカな俺です。
      DJ OGIさんは『大阪ミナミ秘密基地』でお世話になったスーパーDJさんですよね。その節は大変お世話になりました。楽しかったですよ。

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