12月に聴きたいアルバム “ザ・ベストテン” 。ブルース・スプリングスティーン『明日なき暴走 (Born to Run) 』。

明日なき暴走驚きであり、なるほどなとも感じた衆院選だった。みなさん言いたいことが色々あるだろうから、今宵の『浅草秘密基地』で楽しく議論しようじゃないか。今年最後の宴は残念ながら雨降りになりそうで恐縮だが、来場を待ってるぞ。

さて、師走の忙しい日々に聴くのに適したアルバムを10枚セレクトして、不定期連載でお届けしている。3枚目はいずれ『懐かしの名盤ジャンジャカジャーン』にも登場するだろう、ブルース・スプリングスティーンの最高傑作『BORN TO RUN/明日なき暴走』をご紹介する。

このアルバムに流れている、都会の夜の雰囲気がたまらなくいい。そこが12月のざわついた感じにとてもよく似合うのだ。A面(ああ、懐かしい響きだ)の初っぱなからパワー全開の名曲に痺れて、『凍てついた十番街』『夜に叫ぶ』『裏通り』と続く3曲で、ドップリと深い夜の世界へと引きずり込まれる。『裏通り』の余韻の中でB面にセットし直すとタイトルチューンの『明日なき暴走』で、夜の街をバイクでぶっ飛ばしていく。そしてラストの『ジャングルランド』は9分を超える大作でありながらまったく飽きさせることなく様々な表情を見せ、アルバムは幕を閉じる。大晦日にコイツを聴くのが恒例になっていた時期があるほど、12月らしく感じる1枚である。

スプリングスティーンの歌唱が冴え渡っているのはもちろん、このアルバムはサックスプレイが凄まじい。ロックにおけるサックス導入の参考書といっていいだろう。そして、その響きもまた暮れにしっくりと似合う。昭和40年男にとっては『ボーン・イン・ザ・USA』がリアルタイムであり、意外とこの名作にふれていない方は多いかもしれない。1975年リリースであり、大人のロックだったから兄さん姉さんが聴いていたという方も少ないだろう。『ボーン・イン・ザ・USA』のド派手な印象でスプリングスティーンを片付けてしまっているとしたら大損ですぞ。12月のこのチャンスに、ぜひ手を伸ばしていただきたい。

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