大盛況のバイクフォーラム。

引き受けたはいいものの、実は心の中でずっと重かった仕事にケリが付いた。昨日も書いた静岡県浜松で開催された『バイクのふるさと浜松』で、数々のコンテンツのなかでもメインの1つと位置づけられた、トークショーのコーディネーター役だ。ある日実行委員会の1人から電話が鳴った。
「北村さんしかいない。お願い」と。「キャシャーンがやらねば誰がやる」とは名ゼリフであり、これを見ながら育った昭和40年男にはつらいセリフでもある。もしこのセリフを知らなかったら僕の人生ずいぶんラクだったかもしれない。世界のトップシェアそのままの3メーカー、ホンダ、ヤマハ、スズキのデザインのボスたちを束ねて、90分のイベントを引っ張る。なにが難しいって、バイクのデザインの奥深さを知らなければならない。雑誌で特集してもあまり売れないから迫害されがちなテーマであり、自然と知識が少ない。声をかけてきた方も、軽い気持ちだったと思う。しゃべりがそこそこできて、バイク雑誌をたくさん出していてといるところのトップだからとのことだろう。もちろんそんなカンタンな話でなく、引き受けるならそれ相応の知識が必要であるから、当然勉強が必要になる。繰り返すことになるが、今度生まれたきてときは「キャシャーンがやらねば誰がやる」というセリフのない世界に生まれたい。

引き受けてまずその猛獣たち、もとい、偉大なデザイナーたちを一堂に集めてくれと頼んだ。浜松市役所の会議室に、主催者側がズラッと並び監視されているようななかで僕はヒアリングを続けた。2時間はあっという間に過ぎで、後日個別に時間を作ってもらうことを依頼した。と、この会議が終ったと同時に丸投げ状態となり、孤軍奮闘の作業になった。

どう考えても予備知識が足りなかったからこうしたのだが、これが今回の仕事を超えた部分で、奥深いデザインの勉強になった。真剣に聞くから真剣に答えてくれる。各自2時間以上取材して望んだ90分だから、ギュッと凝縮した濃さになった。それとなにより、3人の「いいイベントにしよう」との熱があふれていた。それは個別ヒアリングでの互いの熱の投げ合いが作ったものであり、テクニックもへったくれともない。純粋に熱だけだった。

見ているお客さんにはなんのことないただのトーショーだったかもしれないが、同じ目標に向かって走った4人には強い達成感があり、夕べは全員ベロベロになるまで呑んだ。新幹線を乗り越すものまでいるほど呑んだ。僕も〆切作業で追い込みに入っていて極度の寝不足で、ベロベロだった。キャシャーンはつらいがうまい酒は知っている。さあ、勝負の独立創刊号も同じく、胸を張れるのは熱しかないが、今回もたっぷり注いでいる。さあ、うまい酒に向けてラストスパートだ。

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4件のコメント

  1. キャシャーンと一緒にいる、変形するロボット犬の名前です(^^)

    • おおーっ、そうだった。さすが後輩、すばらしい!!

  2. お疲れ様でした!
    フレンダーという犬は飼ってませんか?(笑)

    • へっ、なんのこっちゃ? 確かに犬は飼っているが…。

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