【S40News!】エントリー向けデジイチの代表格「EOS Kiss」がモデルチェンジ。

キヤノンは、エントリーユーザー向けデジタル一眼レフカメラ・EOS Kissシリーズの最新モデルとして『EOS Kiss X6i』を6月下旬より発売する。昨年3月に発売された『EOS Kiss X5』の後継モデルにあたり、撮像素子内に位相差AF用の画素を組み込んだCMOSセンサーを新たに採用することによって静止画・動画共にAF性能を向上させた他、高速連写性能や画質も進化しているという。

新AFシステムには、EOS Kissシリーズとして初めてとなる、全9点でクロス測距が可能(ファインダー撮影時)なAFセンサーが搭載された。AFシステムを大きく分けると、入射光を分岐させてピントの方向と量を判断する「位相差AF」と、フォーカスを動かしながら明暗差の大きなところを探してピントを合わせる「コントラストAF」の2つの方式がある。これまで多くの一眼レフカメラでは、ライブビュー撮影時はコントラストAFのみだった。なぜなら撮像素子に光を当て続けながら撮影するためには、光を分岐させるための仕組みであるミラーを上げた状態にする必要があるからだ。この状態ではAF用センサーへ光を導くことができない。そのため、コントラストAFに頼る必要があったのだが、コントラストAFはその仕組み上、ピント合わせが遅い。そこでこの『EOS Kiss X6i』では、撮像素子内に新たに位相差AFセンサーが搭載され、コントラストAFとの併用を可能にした新開発のハイブリッドCMOS AFが採用されている。これによってピント合わせが飛躍的に高速化している他、新たに搭載された動画サーボAFとの組み合わせで、動画撮影時に動く被写体にもスムーズにピントを合わせ続けることができる。これらは、ファインダーへ撮像を導くミラーを持たないミラーレス一眼レフではすでに採用されていた機構だが、これをデジタル一眼レフカメラであるEOS Kissに導入してきたところに本モデルの特徴がある。

撮像素子には新開発のAPS-Cサイズ、約1,800万画素のCMOSセンサーと、DIGIC 4の約6倍の処理速度を持つ新映像エンジンDIGIC 5を搭載し、最高約5コマ/秒の高速連写を実現した。さらに、静止画撮影時の常用ISO感度を最高ISO12800まで拡大させており、暗いシーンや動体撮影時におけるノイズや手ブレ・被写体ブレを抑えている。

背面の液晶パネルには、EOSシリーズの中級機である『EOS 60D』と同様、バリアングルタイプが採用された。また、液晶面にはスマートフォンと同様の静電容量式タッチパネルを採用。各種撮影設定やAFフレーム選択、撮影後の画像再生時の拡大/縮小などの操作を画面上で直感的に行えるようになった。コンデジを含め、従来モデルのデジカメのタッチパネル液晶は感圧式が多かったが、操作性に優れる静電容量式の採用によってよりスムーズな操作が期待できる。

新たな撮影モードも追加された。1回の撮影で複数枚の写真を撮影し、それらを合成してノイズの少ない写真をつくる新機能「マルチショットノイズ低減機能」や、露出の異なる3枚の写真を1回のシャッターで撮影し、それぞれを重ね合わせて、黒つぶれや白飛びのない写真を生成する新機能「HDR逆光補正」などである。これらはモードダイヤルに専用ポジションが用意されている。

エントリーデジタル一眼レフカメラの大本命であるキヤノンEOS Kissのモデルチェンジ。初めての機構やシステムが多数搭載された魅力的なモデルといえるだろう。とくに、より実用的になったライブビュー撮影は、撮影用途を大きく広げてくれるはず。これから購入を検討しているならば、ぜひ候補に加えたくなる一品だ。また、今後のキヤノンの布石としても非常に興味深い製品である。全世界におけるレンズ交換式デジタルカメラの出荷台数は順調に伸びており、2011年には対前年比約23%増の約1,600万台に達し、さらに今年は対前年比で約25%増となる約2,000万台が見込まれているという。各社がミラーレスモデルに力を入れる中、未だミラーレス機をリリースしていないキヤノン、同社のラインナップにおいて、Kissの存在は非常に重要となる。本モデルの販売動向によって同社のミラーレス機への対応も変わってくると思われ、今後の動向に目が離せない。バッテリは従来モデルと同様のLP-E8、サイズは約133.1×78.8×99.8(mm)、重量は約520gで、発売直後の実勢価格は9万円前後と見込まれている。

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