信長とビートルズ。

月が変わったことで、資料なんかひっくり返してみた。そうそう、今日は特別な日ですな。厳密にいえば旧暦だからズレはあるが、天正10年(1582年)6月2日未明に本能寺の変があったとされる。6月1日夕刻に明智光秀は軍勢を率いて本能寺へ向かい、謀反を起こした。信長にしてみれば天下を治めるまさに直前でさぞ無念だっただろうが、偉大なる天才の散り際としてストーリー性に富んだ話である。歴史を見つめているときに頻繁に“たられば”で遊ぶ我々男子であるが、もっともその対象になるのがこのシーンでないだろうか。もしもこの変がなかったらどうなっていただろうとは、酒の席でも度々飛び出しては様々な展開になる。信長のことだから長生きしただろう。すると秀吉の天下取りはなかったことになり、家康の立ち位置も大きなズレが生じて、江戸の太平がなかったかもしれない。するとまったく異なる国になっていたはずだ。あの太平の世が、日本人の豊かな心の基礎を作ったのだから、ジャパンミラクルの影に光秀ありということになり、日本人はもっと讃えていいはずだ。今夜はそんな気持ちで献杯しましょう。

ビートルズの来日も6月のことで、なんでよりによってこんな悪い季節に来たのだろう。雨ばかりで印象悪かっただろうな。昭和41年の6月29日に来日して、翌月3日には飛び立ってしまったとのことだからずいぶんと短い滞在だった。日本中をひっくり返った大騒ぎだったのだろうとずっと思っていたが、以前チャボさんのインタビューで意外な言葉を聞いた。当時15歳だったという彼の言葉は「今は『日本人は皆ビートルズに熱狂した』なんて言われるけど、実際はそうじゃなかった。アレは世間の後づけの話かな。夢中になっているのはクラスに2人か3人だったし、ましてローリング・ストーンズやキンクス好きなんて学校にひとりいるかいないか。とんでもない変わり者だよね」と語っている。

なるほど。僕らが生まれた翌年のことでさえ後づけなのだから、信長にまつわる話なんかどれだけ後づけされていることか。そこも含めて歴史ロマンであり、たらればの話から始まって今に伝わっていることだってあるんじゃないかな。そんなわけで、歴史のたられば話はおおいに盛り上がるべきなのだ(笑)。

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