日経の夕刊から来た皆様へ。

初めてここへやってきた方が、今日は大勢いるだろう。初めまして。いつもご愛読いただいている方々も、本日の日本経済新聞夕刊に掲載された記事は見ていただけましたか? ロックタイムズという企画ページにアホ面で出ているので、ぜひチェックしてみてください。

誌面には限りがあるので、掲載内容の補足なんざしてみよう。一昨日ここで述べたとおり、ロックの名作を1枚に絞り込んでレコメンドするのは、ロックに魂を奪われた人間には非常に難しかった。そこでだ、『昭和40年男』編集長という立場から選ぶことと、日経読者に向けて恥ずかしくないものをと、ブルース・スプリングスティーンの『明日なき暴走』に決めたのだ。ロックの熱さとカッコよさが詰まった傑作で、何度聴いても素晴らしいと唸ってしまう。とくに頭の『サンダー・ロード』とラストの『ジャングル・ランド』は、僕の中でスプリングスティーンの楽曲ベスト1&2である。

中学時代はただひたすらギターがうまくなりたくて、その参考になる音楽を中心に聴きあさっていた。組んでいたバンドはギターが3人いて、ドラム、ベース、キーボードと6人の大所帯で、どいつもこいつも自分の楽器をうまくプレイすることに力点を置いていて、ボーカルは順番に当番のごとく担当していた。やがてプロを目指すことになり、なんとなく僕が歌うようになっていった。バンドが本格的な活動に入ると、いろいろな理由で脱落者が出た。補うために加入してきたギターリストがものすごくうまくて、ギターを彼に任せて僕は歌にドンドンシフトしていった。歌うことの魅力に日に日に取り憑かれていった頃、このアルバムに出会ったのだった。

中学時代にヒット曲『ハングリー・ハート』を耳にしていたが、その名を記憶に留める程度だった。それが『明日なき暴走』を聴いて印象が一変した。スゴイパワーと辛口の雰囲気、兄貴的な存在感、そして楽曲の素晴らしさと、何もかもがフィットした。唯一、当初はサックスが苦手だとの印象を持ったが、やがて慣れてくるとむしろ惚れ込んだ。

このアルバムを聴くときは必ずといっていいほど通して聴く。8曲が完璧なバランスを持っていて、ラストの最高のクライマックスへと向かっていく構成である。日経誌面でもコメントした通り、アナログ盤の特性であるAB面が存在することを完璧に活かしきっている。それぞれの面の頭とラストに色の強い曲を配置してあって、A面ラストの『バック・ストリート』でのシャウトの余韻にクラクラになりながらひっくり返して、針を落とすといきなりのタイトルチューンがまたまたフルパワーで押してくるのはすさまじいのひと言だ。そこから大作『ジャングル・ランド』へと向かっていき、フィナーレはでっかい感動に包まれる。

最近ちょっと元気がないな、と感じている昭和40年男たちにはガツンと効きめがあるはず。強力レコメンドの1枚だぞ。

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2件のコメント

  1. はじめまして。原山理一郎と申します。S40年10月生まれの会社員です。日経新聞の夕刊を拝見して大変感銘を受けました。普段は全くしない投稿を、思わずさせて頂きます。BRUCEの数々の楽曲の中でTHUNDER ROADがナンバー1であるという北村様の御見解には、全くもって激しく100%同意致します。あれはROCK史上に輝く燦たる名曲であると、この37年間信じて参りました。その確信は今もって全くゆらいでおりません。ポーチの上で踊るメリーの幻影に捧げられた素晴らしい1曲です。私は今でも歌詞を完全に暗記致しておりますし、CHEVROLETやTRAMPSという言葉がアメリカ文化の中でいかなる意味を持つかを教えられた、いわば私にとってアメリカ文化消化のためのMentorでもある1曲なのです。おおげさですね、すみません。今後はぜひ貴誌を購入させて頂こうと思っておりますし、出来うることならばアーティスト=PRINCEやU2やBRITISH INVASIONの面々、そしてまたマンガ誌に於けるチャンピオン→ジャンプ→サンデー→マガジンといった王者の変遷等々の特集を御願い致します。可能であるならば日本版STARLOG誌の特集や、SF宝石ならびにサンリオSF文庫の特集も御願い致します。勝手な御願いばかりで大変失礼致しました。

    • 遅くなりました。ありがとうございます。激しい同意に感激でございます。さらに企画ご提案までいただき、重ねてお礼申し上げます。あの長い歌詞をすべて暗記とは、相当の熱ですなあ。僕もトライしてみます。

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