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高橋尚子にゃなれないさ。

2010 年 2 月 1 日 プロデューサー コメント

お待たせしました!!
昨日、茨城県はひたちなか市で開催された第58回勝田全国マラソンに出場し、
毎年恒例のなんちゃってスポーツマンに変身した俺の
激しい闘いのレポートをお届けしよう。

 

マラソンブームを反映して
過去最高の1万8千人近い参加者を集めた大会会場は
例年にもましてすさまじい混雑だ。
ブームというのはおもしろいもので、女性が牽引するのである。
スリムで健康的な女性が目立つ。
東京マラソンがキッカケになったであろうことはいうまでもないが、
健康指向も相まって女性が飛び付いた格好だな。
その女性たちに群がる男ども…、こうしてブームは形成される。

 

つい3〜4年前まではマラソン雑誌なども数は少なく、
内容もストイックなトレーニング方法だった。
ところが、昨今のマラソン雑誌ときたら、まるで女性ウェアのカタログである。
老舗のマラソン雑誌もそっちの方へと編集方針をふっているのはちょっぴり寂しいが
ブームであること、そして、その潮流を現場で感じていることは、
この仕事をしている自分にとっては悪くないことだ。
なんてちょっぴり分析なんかしてみたりして、
なんちゃってランナーぶりをスポイルする俺なのだ。

 

つうことで、スタートラインも大混雑で、
号砲がなってもしばらくはダラダラと歩きながらという長い旅のスタートを切った。
俺はこの長旅を4つのステージに分けて意識する。
10kmを3つと最後の12.195kmだ。
入りの10kmはとにかくゆっくりと、体をほぐすくらいの気持ちで行こうと自分に言い聞かせる。
というのも、まわりが速いんですよ。
こういった市民マラソン大会は、俺同様のなんちゃってランナーが多くて、
当然普段から走り込んでいるわけじゃないからハイペースで突っ込む。
みんながそれに着いていこうとするから、どうしても全体的にオーバーペースになる。
するってえと、後半にはバテバテランナーの完成は間違いなし。
そこへいくと俺のように15年以上なんちゃってをやってるベテランは、
ペースを完全に無視してそんなランナーの邪魔者になりながら、
10km地点を通過するのだ。
今回も何千人に抜かれただろうか。
しかし、気にせずマイペースで通過した。

 

続いての10kmはペースを意識しながらも上がり過ぎないように走りながら、
体に不調がないかをチェックする感覚かな。
20km地点を超えて足や体に異常がなければ、
まず完走は約束されたようなモノ。
ここも問題なく通過した。
そして、ここからの10kmが自己ベストへの道となる。

 

俺は後半の方が強い。
水分含有量が多いのか、20kmしっかりと汗を流すと体が軽くなるような気がする。
そして始めの10kmで抜きまくっていったランナーたちが極端にペースダウンしてくるから抜きまくる。
これは人間の本能だと思うが
抜かれるより抜く方が燃えてくる。
リズムがよくなる。

 

30km地点を通過。イイ感じで走れている。
だが、俺は時計をしないため
今、自己ベストに対してどんなペースなのかはわからない。
自己ベストにトライしながら大いなる矛盾だが
「タイムのためだけに走ってンじゃねーもの」
という、支離滅裂な心がある。
自分との闘いを時計ごときに邪魔されたくない、
たどり着いたら結果として自己ベストだったってね。
まっ、とにかくここまではイイ感じ。

 

さあ、ここまでくれぱキッチリ仕上げだ。
ラストの12.195kmはギリギリまで自分を引っ張り出すぞと気張っていくが、体がついてこない。
細かなアップダウンも効いてきて、なんだか最初の10kmよりスローペースになってしまう。
「がんばれ俺。最後じゃないか」
心の中でつぶやくも、いっこうに体が動かない。
こういうとき、いろんなことを人生や仕事に置き換えるのは
いかがなモノかとちょっとあざ笑いながらも、つい考えてしまう。
とりとめもなく、でも極限の状態が考察を手助けしてくれながらだ。
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こんな苦しい思いはしてもなんの得にもならんのになあ。
なんでスタートを切ったのかなあ?

 

歩いている人や立ち止まっている人がいる。
この人は本当に俺より苦しかったから歩いたのかな?
そもそも人の中にある苦しさを比べことなんかできないよな。

 

高橋尚子さんもキツイ思いを何度もしながら、
それでも笑っていたんだろうな。

 

才能ってなんだろうな。努力ってなんだろうな。根性って?
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浮かんでは消えていく混沌としたキーワード。
これらをすべて仕事にも置き換えてしまう自分がいたりする。
ダラダラと、でも確実に一歩一歩を踏み出しながら、
ありがとうの気持ちが大きくなっていく。
苦しいよぉ、苦しい、苦しいんだってばー。
でも絶対に歩かない、止まらない。
42.195kmを走り抜くためにここにきたのだから、走り続ける。

 

ラスト7km。
最後のステージもあとわずかになり、もう一段自分を引き出してみた。
最後じゃないか、出て来い俺の底力(呪文)。
スゴイよ、自分でもビックリする自分が出てきて、ペースが上がっていく。
残り5、4、3、2kmと、もうここいらを走っているすべてのランナーをごぼう抜きにしていく。
先にも触れたが、ほとんどのランナーは時計をしていて、タイムという目標を掲げる。
ここら辺を走っているのは4時間を切るという目標が無理だとわかったランナーたちが大半なのだろう。
が、俺にはそんなこと関係ない。

 

2kmを切ったところで完全にエネルギーが切れて少しずつペースダウンしたが、
ここまで信じられない底力が出せた影響で心がまったく折れない。
気持ちだけはしっかりと攻めている。
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もうすぐだ。

 

ゴールが見えた。

 

もう終わる、この長い旅。

 

ゴール。
すべてにありがとう、こんなにも清々しい気持ちにさせてもらえてありがとう。
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年に一度のスポーツマンへの変身は終わり、
スーパー編集長に戻った俺は足を引きずりながら今日の出社を闘った。
いつもより15分前に家を出て、
いつもより10分遅くオフィスに着くという、これまた苦しい闘いだった。

 

44歳のフルマラソン、4時間11分56秒。
ラストで押しまくれた自分に出会えたことが、
第58回勝田全国マラソン完走の宝物かな。
おっと、あとこの完走いももね。

 

完走いも

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